「防大卒業式」にOBから「罷免要求」 五百旗頭校長の心あたり

 

週刊新潮 2009年4月9日号

 
 3月22日に行われた防衡大学校の卒業式で、前代未聞の騒ぎが起きた。第8代校長である五百旗頭真氏(いおきべまこと、65歳)に対し、OBらが罷免要求を行ったのだ。五百旗頭校長、何か心あたりはあったのでしょうか?

 22日朝、横須賀市にある防大前に総勢30名程の男女が駆け付けた。卒業式のために防大を訪れた関係者に対し、ビラを配付。拡声器を使い、五百旗頭校長の罷免を呼びかけたのである。

 「当日は『主権回復を目指す会』の呼び掛けで、私も参加しました」と話すのは、防大4期生で「田母神論文と自衛官の名誉を考える会」の岡田政典氏(73)。

 「私がこの会を作ったのは、″田母神問題″がきっかけ。彼は、至極全うな正論を言ったのに空幕長を更迭された。しかも校長は、毎日新聞のコラムで田母神君が論文に応募したことを″軍の暴走″と決めつけ、更迭人事についても″意義深い決断″と全面肯定した。絶対許せないと思ったのです」

 五百旗頭氏は元々、国際政治学者である。06年8月、防大校長に就任。福田前首相の外交ブレーンを務めた。

 「五百旗頭氏の過去の発言を調べると、防衛大の校長とは到底、思えないものがあります。例えば、06年9月、小泉内閣のメールマガジンで(靖国参拝一つで、どれほどアジア外交を麻痺させ、日本が営々として築いてきた建設的な対外関係を悪化させたことか)と指摘しています」(同)

 要は、靖国参拝に真っ向から異を唱えたのだ。さらに、従軍慰安婦問題に関しては07年12月、読売新聞でこんな見解を述べている。
「日米共同世論調査の結果、米国で対日イメージが低下しました。五百旗頭氏は、その理由について、<日本の識者や議員が米紙に(注・慰安婦問題に関する)反論広告を掲載したことなどが、人権問題に敏感な民主党やメディアを中心に日本のイメージを低下させたようだ>と分析しています」(同)

″あんな小さな問題″
 そして、極め付きは拉致問題に関する発言。
「02年頃、大阪で私と五百旗頭氏の共通の知人が結婚式を挙げた。あれは、その式の直前、何人かと控室で雑談している時のことです」
と、証言するのは「救う会」副会長の島田洋一氏(福井県立大教授)。

 「誰からともなく、北朝鮮による拉致問題が話題になりましてね。私も『救う会』の活動に関わっていたので話に加わった。ところが、同席していた五百旗頭氏だけは、飽き飽きした表情を浮かべていました」

 そして、俄に信じがたいことを口にする。
「拉致問題を取り上げるのは、日本外交として恥ずかしい。あんな小さな問題。こっちは、遥かに多くの人間を強制連行しているんだから」と言い出したのです。
さすがに、その場にいた人たちは一斉にシーンとなった。私もおめでたい席なのでぐっと我慢しましたが、許せない発言です」(同)

 当の五官旗頭氏は取材拒否。防大の総務課も、「卒業式に校長の罷免を求める人が押しかけて来られたのは事実。が、罷免要求書を受け取った覚えはありません」と、いうのみ。
先の岡田氏はこう憤慨する。
「防大の校長は、未来の日本を守るため勉学と身体の鍛練に励む学生を束ねる立場にある。そんな人が、日本という国を否定するかのような歴史認識を持っているなんて許せません」

 防大校長にしては、余りにリベラルすぎたか。
 
△このページのトップへ
<<主権回復を目指す会TOPへ