今、日本列島に一つの妖怪が出現している・・・、「電力不足」という妖怪が。経済至上主義にまみれた経団連がこの妖怪を操り、我が国民へ電力不足という脅迫観念を注入している。
長野県軽井沢町で開かれた経団連夏季セミナーで、出席した企業首脳から「脱原発で電力コストが増加すれば、企業は生産の海外シフトを進めざるを得なくなる」と、菅直人首相の脱原発路線に対する批判が相次いだ。
「原発を停止したら雇用・生活が守れない」「現在の暮らしを維持できない」「原発を推進しなければ日本経済が破綻する」「会社をたたんで海外へ移転するしかない」などなど・・・。
特に貴殿においては、記者団の質問に対し、電力供給が不安定になれば「設備投資ができないので外に出ざるを得ない」と述べ、企業の海外進出が加速すれば「雇用に相当影響があるのではないかと思う」と。
日本経済のマイナス成長は10数年の長きに亘っており、経済の停滞は電力事情の逼迫とは全く関係ない。牽強付会も甚だしい。長引く不況に加え、この度の震災で国民経済が危機に瀕しているならば、なおのこと、経団連は雇用の確保に最大限の努力を傾注し、国民生活を守らなければならない筈だ。
原発で儲けるだけ儲け、旨みがなくなれば後は野となれ山となれ、これが同じ日本人としての経営者がやることか。子商人と化した儲け至上主義の経団連は解体せよ!
原発事故で生活を破壊された被災者、原発に危惧を抱く国民に対して何たる言い種であろうか。経団連会長として、人格を疑わざるを得ない恥も外聞もない言い種だ。
原発の恩恵を最も与って来ているのは他でもない経団連傘下の企業ではないか。電源三法に基づく税金を注ぎ込むことによって、原発をこの狭い日本列島に乱立させてきた。原発推進はこの国民の税金抜きではあり得ない。
電力を大口需要する企業を支えてきたのが原発であり、国民の税金によって企業は潤ってきた。特に経団連には電力・電気各社が加盟し、しかも福島第一の建設に関わり、安全を蔑ろにして巨利をむさぼってきた。こうした挙げ句、東日本大震災で原発が日本列島を放射能汚染し、国民生活を徹底破壊している。
原発の恩恵に思う存分与って来た経団連と会長としての貴殿から、放射能汚染で深刻な被害に遭っている国民へ、重大事故を犯した謝罪・お詫びを国民は未だ一言も聞いていない。これほど企業道徳に反する無責任は他にあるだろうか。
しかも貴殿は、今年4月の日本外国特派員協会での講演で、「東電は甘くはなかった」と最大の加害者である東電を擁護までした。身内同士でかばい合う癒着は醜悪極まりない。
この度の夏期セミナーにおいても然り、経団連は原発を進めてきた己の責任には一言も触れなかった。原発事故を謝罪、被災地の今後を憂慮するのではなく、国民が原発を容認しなければ、「電力不足」で企業は海外へ“逃亡”せざるを得ないと、善良なる国民を脅迫した。
この言辞の何処に企業の社会的責任を果たすべき経団連会長の矜持はあるのか、恥を知れといいたい。目前の利益に右往左往する経団連の悪徳振りに、多くの国民は激しい憤りを抑えきれない。
原発事故の途轍もないリスクを踏まえ、これからの日本のエネルギー政策全般にについて政府、国民へ提言していくことが経団連会長に課せられた使命であろう。
菅首相が中部電力浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことについて、鈴木修・スズキ会長兼社長は報道陣の取材に応じ、「福島第一原発の状況を見れば、浜岡原発が受ける被害はもっと大きくなるだろう。国の最高決定権者として正しかった」と評価を示した。
さらに、自社の生産活動などへの影響については「仮定の問題なので答えられない」としながらも、「大きな問題にならないようにみんなで協力してやっていけばいい。生活を切り下げ、質素、倹約をしていくべきだ」と述べた。
これぞ企業経営者としてのあるべき姿、社会的責任ではないか。原発の恩恵を享受してきた国民生活を見直し、経団連が利益第一・拝金主義の堕落から抜け出す最大の好期が今なのである。
- 経団連は財界が進めてきた原発推進を一から見直せ!
- 経団連は有力会員が犯した福島第一原発事故の謝罪をせよ!
- 経団連は原発に代わる代替エネルギーの開発を率先せよ!
- 経団連は目前の利益を追及する拝金主義を止めろ!