【報告:日本李登輝友の会青森県支部主催 許世楷大使講演要旨】
 
平成19年11月20日
出町 淑貴

〜許大使の講演要旨を書いてみました〜

  地図を見れば、分かりますが、青森と台湾は結構離れています。今日は何かしらの縁で、皆様とここでお会いすることが出来ました。ぜひ、今日のトークは皆様の役に立つと願っています。

  台湾と日本はいろんな関係がある。1945年以前の50年間、台湾は日本の植民地でした。
また1945年から7年間は、台湾は連合軍の占領下でした。その後1952年に「日華平和条約」が結ばれ、日本に「代表部」が置かれました(注:代表部は大使館、領事館と同じ業務を行っています)。また1972年に「中華民国」と日本の国交が断交になって、今に至ります。

  1990年代に入り、副総統の李登輝先生が総統になったことから、日本と台湾の関係は随分良くなりました。なぜなら、李登輝先生は大変親日的な方であるからです。
国民党の独裁の下で、反日教育の中では、当時の台湾は日本語は決して言ってならなかった時代でした。しかし李登輝先生が総統になってから、自ら日本語を使っていましたので、台湾人が日本に対する認識が大きく変わりました。これは1990年代から築かれたものです。

  つい最近ですが、2005年2月、日米安全保障協議委員会、通称2プラス2では、日本は当時の町村外務大臣、大野防衛庁長官、アメリカは国務長官と国防長官の4人で会議をした。この時に発表した共同宣言では地域における共通の戦略目標として「台湾海峡問題の平和的解決」が盛り込まれました。これによって台湾人は、日本とアメリカは台湾の平和事情に関心があると考えたのでしょう。

  2005年9月、台湾観光客日本に来る時にノービザとなりました。しかし、すでに12年前から台湾に来る日本の観光客はノービザを実施していました。一般的に言うと、これでやっと国と国の関係が平等になっただけです。

  翌年、台湾のある雑誌が行ったアンケートですが、台湾人の外国に対する見方の調査です。項目は20くらいあります。「旅行に行きたい国」、「留学したいと思う国」、「尊敬している国」、「一番好きな国」などの質問がありました。そして今までの結果は、アメリカが第1位でしたが、2005年には総合的に日本が第1位になりました。
日本は台湾人にとって憧れなんです、そしてこの変化には目に見える形で反応があった。それは翌年の2006年から日台間では、合わせて250万人が往復しています。それまでお互いに100万人を切っていましたが、2006年からは100万人を超え、日本からは約116万人、台湾からは約130万人です。大幅に増えたのです。

  今年に入って、台湾の国連加盟問題がありました。1971年、第2758号決議によって「中華民国」は国連から追放された。そして昨年までの14年間、「議席を返せ」と言う国連復帰活動を行って来ました。今年7月、台湾はまた国連加盟申請書を書いた。
ただ一つだけ違うのは「台湾」という国名で申請したことです。しかし、またもや9月の総会で却下されました。国連の事務総長潘基文が「中華人民共和国は中国代表している、台湾は中国の一部である」という根も葉もないことを理由として、1971年の2758号決議のウソの解釈をして、「中華民国」という国名の申請を却下しました。その後2度目の申請を行ったところ、事務総長は「一つの中国」は言わなかったが、「2758号決議で代表権問題は解決済み」と言ってまたもや申請を却下した。これは不当な判断です。申請書は安全保障理事会へ行き、総会にかけられるものです。

  ここで台湾と国交持っている国々から連名で、台湾の加盟は審査すべきであると会議で抗議してくれましたが、またもや審査することはなかった。事務総長は審査の権限がないため、今までは「中華民国はどこを代表している政府なのか」がずっと議論されてきました。中華人民共和国は「中国」の代表政府であると、国連で認められた。
「中華民国」の蒋介石は代表ではなくなった。しかし台湾にいる「中華民国」も台湾を代表してない、「中華人民共和国」も代表していない。

  これは言うまでもない事実ですが、居場所なくなった蒋介石はそのまま台湾に逃げて、居座って、独裁統治を始めたのである(注:確かに、最後台湾を統治したのは日本国です。そして日本は台湾を放棄した。台湾の所属先は決まっていない、例え自由の国にならなくでも、決して中国の一部ではない)。

  中国が代表権を認めてもらえるまで22回も申請しています。我々はこの道は安易な道だと思っていません、今年がだめなら、また来年も申請するだろう。

  またWHOについてですが、日本とアメリカは最初は台湾のWHO加盟に賛成ではなかった。今まで日台間では年間それぞれ100万人前後の方々が往復しているのに、台湾がWHOに入ってないことは、日本にとっていいことは一つもないのです。その後、SARSの影響で、世界的規模な伝染病が大問題を起こした。日本、アメリカもさすがに怖くなったのか、この2〜3年ようやく賛成してくれました。

  我々は来年も再来年も、「台湾」という国名で国連に加盟申請するだろう。来年の3月に総統選挙があります。その時に、国連に加盟するかどうかを問う国民投票を推進する方向です。このことについて、アメリカは、「今のところ、台湾は『国家』ではないから支持しない」、「台湾の国連加盟に中国を刺激するから、だから支持しない」という二つの屁理屈が反対の理由でした。そして日本は「台湾と国交がないから、台湾を国家として扱うわけには行かない」と「投票問題は台湾の国内問題だ、日本は関係ない、賛成も反対もありません」という反応でした。

  国交があるかどうかは関係ない、その国が国であるかないかは直接関係していない。例えば簡単な話、日本は北朝鮮を国家として扱っています。国交もない、人権もない、それでも国家と認める。6ヶ国協議もやる。日本人を拉致しても、日本政府は国家として付き合っている。ところが自由がある台湾は国として認めていない。

  昨年の9月ですが、陳水扁を支持するデモ、反対するデモがありました。何十万人も参加した。延べで300万人を超えて、何日も続けていて、混乱の中でも負傷者や死者はいませんでした。その後、12月に台北と高雄の市長選挙は正常に行われました。

  これで分かるのは、台湾の民主主義は実に成熟したものであるということです。台湾では自由に政府を批判することが出来る。日本より自由な国。国交がないということは、国家ではないということとイコールではありません。中国の全国人民大会の投票の様子をみて、それが民主主義と思いですか。そうは思えません。

  台湾は現状を維持して独立を継続していく方が、日本にとって国家安全上よいことなのか、それとも現状が破壊され、中国に占領された方が国家安全上よいことなのか。台湾が国であるかどうかは、日本の立場で考えてほしい。前者の方がいいと思う方は多いでしょう。違うというならば、それは日本自身の国益を傷つけることにもなるでしょう。

  台湾は日本と国交を持たなくでも国家である。国家であっても、国交がない場合もありえる。

  日本の教育の現場で非常に問題になっていることがあります。それは「いじめ」です。
いじめを見た時に、加担すべきではない。中国は台湾の国連加盟に反対する、日本は「やめろ」といってくれなくでも、中国は台湾のことを自分の一部だと、台湾は国家でないと言っていますが、日本は加担すべきではない。これはまさに国際社会のいじめです。

  日本の中央世調査社内閣府による世論調査ですが、

1.日本国民は台湾の国連加盟に賛成しますか   賛成 74パーセント
2.台湾に行ったことがありますか            ある 16パーセント
3.中国は台湾の国連加盟に反対しています、あなたは日本政府は台湾の加盟に賛成しますか
                                 賛成 63・5パーセント

  質問3では賛成率が63・5パーセントに下がりましたが、それでも過半数を超えている。
これは日本国民の世論です。日本国民も台湾の国連加盟に関心度が高いということではないでしょうか。

  日本は民主主義である限り、いずれは、政府も民意も台湾の国連加盟を支持してくれると私は期待しています。台湾はここにあると、中国につぶされてたまるもんか! 
今後も多分毎年、国際政治の舞台において、国連加盟に向け、自分達の足で歩んで行きたい。
台湾は参加する権利があるんだ。ぜひ!皆様のご声援をお願いします。

 
<<台湾は中国ではないTOPへ    
<<主権回復を目指す会TOPへ