シナ人は侵略を止めよ、厳命する!
対シナ三猿主義(見ざる・言わざる・聞かざる)を脱却しよう
 
『アイデンティティ』第8号 平成16年6月1日
東京大学教授 酒井信彦
 

 現在、冷戦体制が崩壊したと安易に言われるが、それは少し考えれば分かるが明らかなウソである。日本の周辺地帯であるアジア東部には、中共・北朝鮮・ベトナムと言う共産主義国が、今も厳然と存在しているではないか。

 また第二次世界大戦によって世界の植民地体制が崩壊し、民族独立の世界史的課題がすべて達成されたと言う歴史的解釈も、実は完璧な誤解である。第二次世界大戦の後も、多数の異民族を支配し続ける、巨大な2つの侵略国家が存続したからである。ソ連と中共であり、この2つの国家は、前近代的な帝国であるロシア帝国と清帝国が共産化して生まれたのであるから、ソ連帝国、中共帝国と呼ぶべき存在である。

 このうちソ連の方は約10年前に共産主義が破綻して民主化され、それだけでなく国家そのものが解体して、支配下にあった多数の民族が独立を遂げた。さらにユーゴスラビアも解体し、チェコ・スロバキアすら分離した。ヨーロッパでは、積年の歴史の課題が、漸く達成されたのである。

 とすると民主化及び民族独立と言う歴史の当然の流れが、不当に阻害されている巨大な暗黒地帯は、世界において中共のみであることになる。すなわち中共は紛れもなく現実の侵略国家であり、シナ人は侵略現行犯民族なのである。

 ところがその極めて簡単明瞭な事実が、わが国では全くと言って良いほど認識されていない。侵略国家としての認識はおろか、欧米では一般的に通用している、中共は人権侵害大国であると言う認識すら希薄である。

 例えば日本でも死刑制度に対する反対運動があり、保守政治家にも賛同者がいるが、日本の精々一桁の前半の人数の死刑に反対する人々が、世界の過半数に及ぶ中共での年間数千人の死刑には無関心である。これは学界やマスコミに左翼勢力が優勢であるだけでなく、約30年前の国交成立以来、保守自民党政権や実業界まで完全にシナ人に篭練絡されて、中共の真実の姿に盲目に成ってしまっているからである。すなわち現在の日本は、シナ人の行っている悪逆無道に対して、「見ざる・言わざる・聞かざる」状態に陥っている。これを私は、孫文の三民主義、大隈重信の対支21個条要求に倣って、「対シナ三猿主義」と呼ぶことにしている。

 さらに中共からは、教科書・靖国問題で日本は執拗に攻撃され続けている。過去を反省していない、謝罪していないと繰り返し脅迫され、教育主権を喪失し民族としての誇りを滅茶苦茶に踏みにじられている。先述したように、その中共・シナ人こそが現実の侵略国家・侵略民族なのであるから、日本はその侵略の張本人から侵略を口実に過去を追求されると言う、まことに無様な醜態を繰り広げているわけである。日本人と言う立場を離れて客観的に見れば、これほど滑稽なことはない。これはすでに日本人がシナ人の精神奴隷になっていることを如実に示している。つまり日本に対するシナ人の間接侵略は既に成功しているのである。とすれば次は直接侵略である。遠からずアメリカが衰退してアジアから出て行けば、直ちにシナ人は日本直接侵略に乗り出してくるだろう。シナ人が直接侵略すると言うと、保守派の人々の中ですら、何を馬鹿なと思う人がいるかもしれない。しかし日本は、過去の反省・謝罪が足りないから、また同じ過ちを犯すかもしれないと言われているのである。現実に侵略を日々実践している国家が、一層軍事的に成長すれば、更なる侵略に乗り出すことは、理の当然と言わなければならない。

 では精神の奴隷状態を脱却して、中共の直接侵略から日本を防衛するには何をどうしたらよいのか。

 やるべきことは極めて簡単で、とにもかくにも真実を明らかにすることである。中共は裸の王様なのだから、「王様は裸だ」と言えば良いのである。シナ人が歴史問題で日本を攻撃する言葉は、実はすべて自分自身に何百倍も当てはまるのである。彼らは天を仰いで唾しているのである。従って彼らの言葉を、そのまま熨斗を付けて返せばよい。すなわちシナ人に向かって声高に、「シナ人は侵略を止めよ、厳命する!」と言明すべきである。知識人・マスコミ、政治家や財界人にそんな知力も気力も期待できないから、一般民間人レベルで率先してこの運動を展開して行かなければならない。さらに世界の世論を喚起して、世界史的課題である中共の解体・民主化を実現しなければならない。

 侵略国家がぬけぬけとのさばり返っていて、アジアの平和・世界の平和があり得るわけがない。侵略の大罪を一日も早く止めさせることが、シナ人に対する真の友情で、真の友好なのである。

 それはまた、シナ人から歴史問題の冤罪で迫害され続けている日本人としての、至極当然の権利である。

 

 
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