天皇の「戦争責任」を捏造したNHKと朝日新聞
<安倍・中川議員の介入は正当な政治活動だ>
 
【西村修平 『月刊日本』平成17年3月号】
 
【偏向番組を意図的に隠蔽する朝日新聞とNHK】
 朝日新聞は、NHKが平成十三年に放映した「ETV2001戦争をどう裁くか」が大幅に改変された問題で安倍晋三、中川昭一両衆院議員が不当な圧力を加えたとの捏造報道を繰り広げている。
 朝日新聞は、両議員から「不当な圧力を加えた」根拠の提示とその説明を求められているが、未だに返答できないままだ。
 NHKも朝日新聞に対し、政治的圧力は事実無根であるとして謝罪と訂正を求めているが、一般国民には「政治的圧力があったのか、なかったのか」の、水掛け論争としか見えない。
 連日にわたって報道する朝日新聞やNHKの論争からは、問題となっている肝心の番組内容が全く見えてこない。そこには騒動だけを報道することで、NHKの放送内容を国民の目に触れさせまいとする意図的な工作が見え隠れする。朝日新聞が目論む狡猾な作為と、これに反論できないNHKの腐敗した体質が問題の核心を隠蔽している。

【番組の狙いは天皇の戦争責任を断罪することだった】
 NHKが放送した番組とは、平成十二年十二月八日から六日間にわたり、東京・九段会館などで開かれた「女性際戦犯法廷」という模擬裁判のことである。正式名称は、実におぞましい「日本軍の性奴隷制度を裁く女性国際戦犯法廷」というものだ。国内向けには、「女性国際戦犯法廷」と意図的に簡略化しているが、海外向けは「日本軍の性奴隷制度を裁く女性国際戦犯法廷」である。ここにこそ、この「模擬裁判」という形式で粉飾した彼らの隠された意図がある。模擬法廷では、戦場における個別兵士の強姦罪と慰安婦を意図的に混同させて、日本には従来から「性奴隷制度」が存在し、従軍慰安婦強制連行は「天皇制を構成する一構成部分である」として、昭和天皇と御皇室を悪し様に罵った。この模擬法廷は、日本に対する差別と偏見を煽って、将来にわたって日本政府を「謝罪外交」で拘束し、行き着くところは日本人の誇りをズタズタに切り裂き、民族の精神的自立と主張を許さず、時代を担う青少年を精神奴隷に貶める日本民族抹殺の反日政治集会である。
 これが「女性国際戦犯法廷」の本質であり、NHKが「改変」して放送したとする番組であったのだ。
 集会を貫く基調はデッチ上げられた「性奴隷制度」であり、NHKの番組の目的は昭和天皇の戦争責任を断罪することだった。

【昭和天皇をデッチ上げた元朝日記者松井やよりの狙い】
 模擬法廷を主催したのは反日フェミニズムのバウネット・ジャパンだが、企画・実行した最大のコーディネーターが同代表を勤めていた元朝日新聞記者の松井やより(平成十四年死去)だった。松井やよりは、プロテスタント教徒であり、彼女自身が述べているように、天皇制打倒をライフワークとする反日原理主義者だ。模擬法廷の支援団体は教職員組合、マルキスト集団や反日フェミニズムグループなど二九八団体に及ぶが、なかでも一際目立つのが全体の六割以上を占めるキリスト教団体である。
 異なる宗教に極めて寛容な風土の日本にあって、彼らは天皇という圧倒的な存在に対し、これを寛容できないと憎悪を示している。同模擬法廷の警備を、クリスチャンとは水と油の第四インターのトロッキスト集団に依頼して恬として恥じない厚顔に松井の怨念の深さを知ることが出来る。準備期間に丸三年をかけたが、その殆どを海外で名乗り出た慰安婦の呼び集めに費やした。北朝鮮や中共、韓国など八カ国から六十四人の「被害者」と称した慰安婦が参加。傍聴者として、海外からは韓国の二百人を筆頭に五百人、四日間の傍聴者は五千人以上に上ったとしている。
 さらに、マスメディアが百四十三社、三百人。その三分の二が中共と欧米のマスコミであった。「性奴隷制度は天皇制を構成する重要部分である」とする虚偽を、欧米と中共のマスメディアを駆使して、海外に向けて宣伝する反日政治集会だった。
 松井やよりは、法廷開催の意義を「日本政府に戦争責任・戦後責任を取らせること」(開催案内文)と断言している。そのうえで、彼女は「(法廷での)天皇有罪判決は日本にとって計り知れない歴史的意義を持っている。天皇を始め戦犯を一人も裁かなかったどころか死ねば靖国神社に英霊として祀り、遺族に軍人恩給を払い続けてきた日本の戦後最大のタブーに挑戦した。したがって海外メディアは『天皇有罪』を大々的に報道した」(平成十三年『神奈川大評論』)と模擬法廷の狙いを公言した。
 日本人の誇りと名誉を傷つけ、且つ不敬極まる番組内容がNHK幹部の耳目に触れたので、NHKは放送法と自らの倫理規定に照らして改変し、目に余る部分を削除したまでである。権限を有する編集者が、公共の電波を預かる自らの良心に従い手を加えたのであって、「表現の自由」云々を論ずべき次元の問題ではない。政治家の圧力云々をデッチ上げた朝日新聞の子会社であるテレビ朝日でさえ、スポンサーと視聴者の避難を恐れて放映できなかった代物だった。本来ならば、改変ではなく企画段階で撥ねられていた筈の番組だったのである。我が国の象徴であられる天皇を冒涜する政治集会の内容が、改変されたたとはいえ、放送されるまで至ったNHKの責任は決して不問には出来ない。
 反日原理主義者の松井やよりと二人三脚で「女性国際戦犯法廷」の政策に深く関わったNHKの永井暁は、公共の電波をハイジャックしようと画策した情報並びに言論のハイジャッカー、テロリストと断定して然るべきである。
 この番組は我が国に「性奴隷制度」という冤罪をなすりつけ、日本人をシナ・中共、欧米の精神奴隷に位置づけようとした悪質極まりない反日プロバガンダであった。単なる報道の問題としてではなく、国家の安全保障を脅かす次元として認識するべきである。オウムは、電車内にサリンを撒いたテロリストだったが、松井やよりと永井暁は、サリンの代わりに「昭和天皇打倒」「性奴隷制度」を公共の電波を使って全国にまき散らそうとしたテロリストである。
 この真相をNHKと朝日新聞は決して明らかにしないのだ。

【安倍、中川両氏は国会議員として当然の責務を果たしたのだ】

 国会議員の責務は、国民の生命・財産・安全を守ることに尽きる。同時に、国民の精神を支える日本人の名誉と誇りも含まれる。
 だとすれば、この度のNHK永井暁らの電波ハイジャックは、日本人に対する「テロ」行為として認識しなければならず、国会議員は政治介入によって国民の生命・財産・安全、名誉を守る為に番組内容を改変させるのは当然である。
 したがって、安倍、中川両議員は朝日新聞の「番組への不当介入」の文言に惑わされることなく、国家安全保障上の見地から堂々と反論を加えればいいのである。国民が期待しているのは、枝葉末節な議論ではない。
 朝日新聞は「不当な圧力を加えた」というデッチ上げ報道について、未だ安倍、中川両議員の抗議に対し、一片の謝罪もしていない。それどこらか、横井正彦東京本社社会部長の名で両氏の言動が「不可解」(一月十八日付朝刊)と居直りの反論をしている。ということは、朝日新聞の今回の捏造は、本田雅和という跳ね上がり極左記者一人の犯したミスではなく、社を挙げた朝日新聞の一大謀略ではないかとの疑念が浮上する。我々国民は朝日新聞を、情報並びに言論のテロリストとして認識し、駆逐・衰退させる対象に位置づけなければならない。
 一方、NHKは天皇打倒という冒涜番組の政策に関わった職員を処分すら出来ないでいる。放送法を著しく逸脱した番組が、何らのチェックすら経ないまま放送寸前にまで至った経緯こそ、国民には知る権利があるのだ。「言論の不当介入」などの抽象論に惑わされず、朝日新聞、テレビ朝日、NHKの本質をそらす報道に厳しく目を光らさなければならない。

【番組改変の主役は国を憂える名もなき国民であった】

 今から六年前(平成十一年)、東京大学の酒井信彦教授は「女性国際戦犯法廷」の危険性と国際的陰謀を逸早く察知・指摘、警鐘を鳴らした。鳴らしたのではなく乱打したのである。しかしながら当時、政治家をはじめ保守派や右の陣営は殆ど聞く耳を持たなかった。事態を憂慮した一般の社会人や主婦、学生達が少数ながらも会場の九段会館やNHKに対し、抗議活動を粘り強く続けた。
 特に放送寸前の平成十三年一月二十七日、二十八日の両日、東京地方はまれに見る大雪に見舞われた。これらの勤労国民は降りしきる雪の中を、徒歩で原宿駅からNHK放送センターに出向き巌凍の中で日が沈むまで抗議活動を行った。こうした地道な抗議活動がNHK上層部の知るところとなり、放送寸前に大幅改変となったのが真相だ。番組改変の主役は国会議員ではなく、こうした国の行方を真に案ずる市井の名もなき国民だったのである。秦郁彦氏が番組の改変を「『法廷』の存在を知った保守、『右』の市民らがNHKに抗議した結果だろう」(一月十五日付『産経新聞』)と語ったのは正鵠を射ている。
 生命・財産・安全、名誉を守られるべき国民が、「守る」を生業(なりわい)とする国会議員に代わって国益を死守した。皮肉といえばこれ以上の皮肉もない。
 未だに、朝日新聞や左翼系のマスコミがこれら勤労国民の整然とした抗議を「右翼の乱入」「押し寄せた右翼」などと得意のデマゴギーを喧伝して一般国民との乖離を画策するが、このあくどい彼らの意図を徹底して糾弾しなければならない。
 模擬裁判の会場となった九段会館は皇居と靖国神社に隣接する最も由緒ある場所にあり、戦前は軍人会館として使われ、現在これを管理・運営しているのは財団法人日本遺族会である。驚くべきことに、昭和天皇と英霊を冒涜する政治集会が一週間に亘って、宿泊施設も含めて全館を借り切って行われたのである。いや、日本遺族会は、反日原理主義者の松井やより達に会場を「提供」したのである。
 模擬法廷開催前から、我々は酒井信彦教授と共に九段会館の庭月野優侑基総支配人に対し、会場を反日極左に貸した責任を糺し、会場使用を取り消すよう再三再四に亘り要請した。しかしながら支配人は、苦渋の表情を浮かべ沈黙するのみで、自らに決定権はない素振りに終始した。当時の日本遺族会会長、シナの美人諜報部員に籠絡された橋本龍太郎首相だった。とすれば、この模擬法廷の背後には、我々の窺い知れない何者かの存在を想像せずにはいられない。
 さらに、昭和天皇への有罪判決を下した会場は日本青年館であった。日本青年館は、明治神宮創建に全国から馳せ参じた青年の功績に対し、皇太子殿下であられた昭和天皇が令旨を下賜、その拝受を記念して大正十年に創建された。まさに、昭和天皇に最も縁の深い場所が選ばれ、そこで昭和天皇断罪の「有罪判決」のセレモニーが行われた。また模擬法廷の開催日を大東亜戦争開戦の十二月八日に設定するなど、日本潰しの目的が綿密な国際的連携を基にした周到な準備の積み重ねであったことを浮き彫りにしている。

【法廷で明らかにされたNHKと反日極左の癒着】

 ところで松井やよりらは番組が大幅に改変されたことで「精神的苦痛を受けた」として、NHKを提訴している。公判で松井と共にバウネット・ジャパンの代表の一人である西野瑠美子は陳述書を出しているが、皮肉なことに、これによってバウネット・ジャパンとNHKの反日極左が如何に癒着し番組を製作したか、その経緯がよく分かる。
 番組を実際に製作したのは、ドキュメンタリー・ジャパンという会社である。NHKが子会社のNHKエンタープライズ21に発注し、孫請けの形でドキュメンタリー・ジャパンが製作した。
 朝日新聞とNHKはこれまで、NHKエンタープライズ21の実態を決して明らかにしなかった。同社のプロデューサーであり取締役が、「女性国際戦犯法廷」の運営委員の池田理恵子であり、バウネット・ジャパンの発起人の一人でもある。彼女が番組製作に密着に絡んでいたのは、疑う余地はないだろう。つまり、両者は一体なのである。
 西野の陳述書で一際注目されるのが、バウネット・ジャパンがドキュメンタリー・ジャパンに与えた取材の便宜である。内外百四十三社、三百人のマスメディアの中で、ドキュメンタリー・ジャパンだけが一階中央にテレビカメラを設置することが許可され、さらに、内部関係者と同様の腕章の貸与、運営委員会事務局の自由撮影、参加者名簿や極秘文書の閲覧等々の便宜供与が行われた。松井やより、西野瑠美子ら模擬裁判主催者とNHKエンタープライズ21は完全な癒着関係にあった。
 以上から見て、公正な報道などあり得るわけがなく、目的はNHK上層部の隙をついて、一気に昭和天皇断罪を電波に乗せようと企んだ「テロ」だったのである。
 しかも西野は陳述書で、この間の経緯を「ドキュメンタリー・ジャパンのプロデューサーとディレクターから、女性国際戦犯法廷を一月に放映予定しているETV2001シリーズで取り上げたいので、取材に協力して貰えないかと相談を受けました」と、臆面もなく癒着の実態を握り潰している。天に向かって唾を吐く行為といってよい。
 同模擬法廷を支えたのは、主として反日極左を含むマルキストとフェミニズムの団体だが、もっとも深く関わったのが反日キリスト教団体である。単なる動員ではなくバウネット・ジャパンの発起人のなかに堂々と名を連ねている。「日本カソリック正義と平和協議会」会長の要職を兼ねている高嶋たつ江、「日本キリスト教婦人矯風会」会長の、高橋久江、これら没落を煽る反日政治集会に、プロテスタント、カソリックの幹部クラスが主導権を握り、組織を上げて取り組んでいる。さらに各地のYMCA、YWCA、日本キリスト教団、救世軍本営、日本キリスト教協議会等々だ。共産主義やフェミニズムの危険性については注意を払う保守陣営だが、キリスト教の反日性とその組織的行動に対して対応は余りにも不十分だ。
 松井やよりは女性国際戦犯法廷のプロバガンダを、その後精力的に各地で報告集会として取り組むわけだが、こうした反日極左の目に余る横暴に抗議する国民の声も、NHKの番組改編を契機に大きく盛り上がりを見せる。
 例えば、東京ウィメンズプラザや渋谷勤労福祉会館などで開いたバウネット・ジャパンの報告集会に、九段会館で抗議行動した保守派の勤労国民を先頭に四十~五十人で抗議活動を展開し、公的施設を反日極左の政治集会に貸与した区の責任を徹底して追及した。こうした良識的な国民運動を受けて、区は松井やよりらに対し、施設の貸し出しを禁止する措置に出た。千代田区で開催予定だった彼女の「公開講座」も、抗議を受けた区は中止を決定した経緯がある。
 こうした事態を松井は「私たちが集会を開くたびに、必ずといっていいくらい妨害に来る」として、「公共の会場も使えないという実害も既にある」(『創』01年10月号)と抗議によるダメージを深刻に嘆いている。

【正当な抗議行動で不当逮捕、長期拘留、そして有罪判決】
 そうした矢先の平成十三年十一月十四日、私を含めて女性国際戦犯法廷とNHKへの抗議に参加した五人が、「威力業務妨害」で一斉に逮捕される事件が起きた。
 実は、逮捕される四ヶ月前の平成十三年七月七日、日中友好神奈川婦人連絡協議会主催で、松井やよりが講師を務める自由討論が開かれた。その席上、ビデオ上映された「女性国際戦犯法廷」のなかで、中国帰還者連絡会の元日本兵が強姦と殺人の自慢話をしているシーンに対して、私は「こいつは国賊だ。切腹して日中両国民に謝罪しろ」と野次った。
この野次でもって、私達がその後十一月に逮捕される理由となった。第一回公判が開かれたのは、何と逮捕から七ヶ月後であり、約10ヶ月間の拘留を受け保釈されたのが、翌平成十四年七月三十日の深夜。自宅に戻ったのが午前零時を過ぎていたが、二人の娘が寝ないで帰りを待っていた。
 事件のリーダー格と名指しされた私は、五名中もっとも重い量刑の懲役一年六ヶ月、執行猶予五年が最高裁で確定した。
 「日本の司法当局が極右に対し厳罰を下す」のタイトルで、シナ・中共のマスメディアがこの事件と有罪確定を最も華々しく報道した。人民日報、新華社通信、解放軍法、光明日報、北京日報、上海日報、上海文匯報等々・・・、異常とも言うべき反応であった。
 バウネット・ジャパンの代表の西野瑠美子は、この判決に「被告人等は西村らを中心にした『慰安婦』の集会妨害の『常連』だった」(『収監金曜日』02年5月10日号)としたうえで、「彼らのエスカレートする言論妨害活動に被害者は立ち上がった」(同)と、この判決に喝采を送った。松井らの公的施設での反日違法集会が、刑法上の保護を受けた「正常な業務」と認定され、私達の抗議が刑法上の「妨害」行為と決めつけられた。反日極左の違法行為を「妨害」したことで、市井の勤労国民が5ヶ月から十ヶ月近くも拘留され、全員が有罪とされたのだ。いやしくも日本は法治国家である。法治国家における言論の自由とは、「公共の利益」とその国の文化・慣習に立脚した「公序・良俗」という規制を前提とした理念であり、この規制がなければ言論の自由は、ただの放縦か国家秩序の崩壊を招く無法としかなり得ない。
 
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