自称・ナショナリストの加藤紘一は面会に応じよ

 本年、八月三十日の朝日新聞社会面において、貴殿宅炎上事件の実行者・堀米正広氏が逮捕された報道記事の中で貴殿は以下のように談話を発表している。「私の発言に対する抗議という見方がされているが、言論には言論で反論すべきだ。放火など、ただの卑劣な腹いせで、抗議ですらない」と。
 これが政治家である貴殿の本分であるならば、弊会は言論で貴殿の持つ政治姿勢を問い糺したい。
 貴殿は従来より小泉前首相の靖国神社参拝を批判してきた。支那・朝鮮といったアジアにおける一部近隣諸国の国民感情に配慮することを眼目に、祖国の為に尊い命を犠牲にした二百四十六万余の英霊に対する感謝を忘れ、わが国を亡国の淵に引きずることに専念してきた。
 「その尊い命を祖国防衛の為に捧げてください。我々日本人は未来永劫にその尊い犠牲に感謝し、国家として靖国神社に神としてお祀り致します」と、いう約束が存在していたのではないか。
 それを、今になってから「日本は戦争に負けたから」「支那・朝鮮が文句を言うから」「憲法違反だから」等、戯言を吹聴して英霊との約束を反故にできるのか。彼らは純粋に祖国を家族を守るために極寒の大地で、灼熱の密林で散華されたのである。
 貴殿は八月十五日朝の民放テレビ局の番組に生出演して、小泉首相(当時)の靖国神社参拝を痛烈に批判した。
 その中で、靖国神社遊就館の展示内容に触れている。
「ルーズベルトの大戦略」と題した大東亜戦争開戦の経緯をめぐる展示で「ルーズベルトに残された道は、資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要することであった。そして、参戦によってアメリカ経済は完全に復活した」、という記述に対し、アーミテージが異議を唱え変更を要求しているというものであった。
 これに対し貴殿は「中国からの要求には応じないで、アメリカからの要求に屈すると言うのはナショナリストの私としては我慢ならない」と発言していたが、間違いないか。
 貴殿がリベラリストでもデモクラシストでもなく、ナショナリストであるということを弊会では初めて知った。
貴殿が自己規定するナショナリストとは、侵略に次ぐ侵略の歴史を構築し、白人優越主義の下、わが国に対しては絨毯爆撃・原子爆弾投下で無辜なる民間人を虐殺せしめ、復讐劇的極東国際軍事法廷で我が国民に贖罪意識を植え付け、更にはエセ平和憲法を押し付け、奴隷的日米安保条約を以って、日本国民としての自立心を奪ったアメリカの唱えるグローバルスタンダードと称する世界一極支配に異議を唱え、アメリカの敷いた覇権主義の鉄鎖を断ち切る対米独立闘争の中核的存在であると理解してよろしいのか。
前述の遊就館の展示内容については、九月に米下院のハイド外交委員長が「ここで教えられている歴史は事実に基づかない。修正されるべき」と批判した。
 これを受け入れる形で今般、「開戦を強要する」「アメリカ経済は完全に復興した」という記述を削除することとなった。
 そこで、「ナショナリストの私としては我慢ならない」と宣言した貴殿におかれては如何なる措置をとるおつもりなのか、その決意と方策を伺いたい。
 五十年以上の長きに渡り我が国の政権政党を務める自由民主党はその成り立ちからして米CIAの資金援助を受けた経緯もあり、その対米盲従の姿勢は一貫しており、独立国としての矜持の片鱗を窺い知ることはできない。その結果、隣国の支那・朝鮮に対しては闇雲に謝罪外交を繰り広げている。その中にあって幹事長まで勤めた貴殿が我々と同じ道を歩むナショナリストとしてアメリカの批判に立ち向かってくれることはなんとも心強い限りである。
 弊会は再三に亘り、貴殿との面会を申し入れて来たが、貴事務所は「面会希望者が多い」「多忙である」と断り続けてきた。
 しかし、貴殿のモットーとする「言論には言論で反論すべき」という持論を現実のものとする為にも、面会に応じ弊会の質問に答え、貴殿の意見を開陳すべきである。
 自由な言論闘争が拒絶されるならば、貴殿が「卑劣な腹いせ」と規定する放火行為等の直接的行動に出るしか道は残されなくなる。これら直接行動を抑止したいならば、堂々と言論を以って対応することをお勧めするものである。


事は国家主権の存亡に関わる急務であるが故、真に勝手ではありますが、本状受領後一週間以内に、面会日程の通知をいただきたくお願い致します。


                               平成十八年十一月十二日
                               政経調査会  代表  槇 泰智
                               東京都中野区野方三―二十六―二
                               電話   零三―五三四三―二五五三
                               模写伝送 零三―五三四三―二五五一
                               電子郵便 daitoa@daitoa.com

加藤紘一殿
 電話   零三―三五零八―七四六一
模写伝送 零三―三五零八―四一一一