<手放しで喜んでいいのか?「民度の高さ」> |
平成23年4月8日 |
主権回復を目指す会代表 西村修平 info@shukenkaifuku.com 東京都千代田区西神田1−1−2 パトリス26―502 電話03−5281−5502 Fax 03−5281−5603 |
海外メディアは震災時における日本人の規律正しさ、整然とした行動、暴動、略奪に走らない民度の高さを「驚き」をもって報道した。(反日ジャーナリストのクリストフですら手放しで褒めた)それを受けて多くの日本人、特に「保守」派がこれを取り上げ、しきりに自画自賛しているが、手放しで悦に入っていいものだろうか。これを民度の高さなどで説明できるだろうか。 自然科学、また社会科学においてもそうだが、事物とか物事の概念はある一定の条件で反対の側へ転化する。哲学用語ではこれを対立面の統一ともいう。 この観点から、今回の震災に遭遇した日本人のメンタリティーを考えてみたい。 暴動、略奪が起きない、又は起こせないのには理由がある。起こす理由、必要、さらには起こす気力がないということでもあり、道徳律が他国に比べて特段高いからで説明できるだろうか。 ありとあらゆるインフラが破壊される未曾有の災害にも関わらず、被災者はそれぞれの避難施設に落ち着きさえすれば、基本的な衣食住は国家が保証してくれ、テレビや入浴などを除けば、生命を維持する最低限は整っている。少なくとも、この点において暴動、略奪を起こす理由、必要がない。危険を冒し、他人を押しのけてまで命の糧を争う必要がないのである。どんな窮地にあっても助けてくれる有りがたい<先進国>といえばそうかも知れない。 こうした救済の形は奈良時代の光明皇后までさかのぼれる。夫である聖武天皇に強く進言して東大寺、国分寺の建立に大きな存在を示された方で、各所に救護施設にあたる「悲田院」、医療介護施設に該当する「施薬院」を設けて慈善活動を積極的に行った。 この時代は、私が推薦する図書の『穢土荘厳』(杉本苑子・文春文庫)に詳しいので是非読んで頂きたい。 古来、救護施設に収容して貰えさえすれば、当分の生命の維持は保証されるのである。これらは江戸時代まで、地震などの災害に幕府は「罹災者救恤」の特例でもって庶民の救援に関わってきた歴史がある。 要するに、このように躾られて来た日本人は時別なにも倫理観が高いとか、民度が高いのではなく、災害時に暴動を起こす必要がないからとも言える。しかし逆に生活、生きることに躾られた日本人は他民族に比べて、危機の際に極端に生命力が貧弱ともいえる。 被災地で頻発する<こそ泥>の類の窃盗事件・・・、災害のどさくさに紛れた窃盗事件の多発は現地の警察が報告するように明らかである。 私はこの<こそ泥>根性、人の不幸につけ込んだ火事場ドロボー、こそが実は日本人の現代の堕落性を顕著に物語っているのではないかと思う。見掛けは平然として諸外国から絶賛されているが、この<こそ泥>の存在こそ、じつは偽善の纏のなかの品性の下劣さを象徴しているのではないかと思ったりする。極めて卑劣で卑怯である。この<こそ泥>が我が日本人の仕業でないことを私は信じたいが・・・。しかし、これを演じている卑劣漢が他でもない日本人なのでは。これら日本人よ、恥を知れ!と言いたい。 さて国が必ず助けてくれるといったいわば<羊のような人間>を戦後アメリカの巧妙な指導によりそれを受け入れてきた。それは品性や品格の問題ではなく、あくまでも主体性のない家畜小屋の<羊>にしか過ぎないのではないか!だから群れから外れた迷い子羊は<こそ泥>をするのである。 今の政府や権力に対して怒りを感じるならば、普通の国、アメリカでさえも革命権が認められている。しかし軍隊なき戦後、軍事アレルギー平和ボケの日本は、怒りをゲバルトに爆発できないのは、まさに去勢された精神の弱さにこそある。大地震ではなく、例えばシナやロシアが不法侵略してきたら、この羊たちは侵略に対し立ち向かう気概などあるのだろうか。 人間には、時には情念の爆発がその人間たる由縁である。いまや日本人には、危険を冒してまで決起する気力、発散するエネルギー、とてつもない情念がないといえる。他民族と比較して生命力を支える力が極端に弱い! 「保守」を自称する人々はそんな気力、エネルギー、情念など見受けられない。むしろアメリカにおんぶにだっこで日本は大丈夫だと惰眠を貪っているに過ぎないのである。 民度、道徳律なるものは民族、社会のおかれている環境(一定の条件)で対立面へ転化するものであり、サブカルチャーを支える理念、善悪を選択するような単純なものではない。 最近外国の論調が<日本の我慢強さ>について、よく<菅政権に我慢している>と揶揄に至った。まさに本質(羊または惰眠)を突いた議論といえる。 定まらぬ軌跡のままに落花舞ふわが皇国の行く末なぞらひ |
さくら満開の千鳥ヶ淵にて |