<靖國神社の神域と緑の佇まいを守れ!工事の再考を求むる>
−整備計画の白紙撤回を−

平成19年2月4日
主権回復を目指す会

 靖國神社は「靖國神社神門前整備工事」と称した工事計画を広く衆議に図ることなく秘密裏に進めてきている。工事とは「神門前整備工事」というように、まさしく神門に向かって右側、大手水舎真向かいの樹木を伐採(一部保存)して便所(身障者用も設置)と休憩所を設置するというものである。従って英霊にこたえる会の所有する倉庫は取り払われる。
  この工事について二月二日、主権回復を目指す会は代表の西村修平以下三人で、靖國神社・権宮司であり、総務部長の山口建史氏にことの経緯を伺った。山口権宮司の説明から以下のことを知ることが出来た。

◆予算規模は約一億万円、四社競争入札の結果、銭高組が受注。
◆現段階で仮、本契約はまだ交わしていない。
◆着工・完成は三月一日から工事開始、完成はみたま祭り前まで。
◆「整備工事」の必要性として、トイレの数は多いほど好い。休憩所も参拝客の利便性を鑑みてであり、
  かつ防災設備の収納庫(英霊にこたえる会との共用)を兼ねる。
◆工事責任窓口は山口権宮司である。

  限られた一時間ということで、当方の疑問点等は述べることを控えたが、到底納得の得られる説明ではなかった。

【何故?「下乗」制札の内に】
  場所で言えば、便所が「下乗」制札の内側という神域であり、お清めの水舎の向かいに位置し、神木の伐採を伴う。トイレ、休憩所の設置場所が、何故神門手前の林でなければならないのか。神木ではないかとの問いに、山口部長は「あれは献木でありまして神木でなない」と答えた。因みに、参拝記念樹が神門境内で売られているが、靖國神社植樹会が境内で採取し、育てた苗木が神木と説明されている。

【何故?改築しないのか】
  トイレの数で言えば今現在、駐車場、茶店、南門、遊就館、参集殿、靖國会館前地下、靖國会館に、それぞれ九カ所設置されている。年中、境内で奉仕活動をしているが参拝客からトイレの場所を聞かれることこそあれ、数が少ない苦情は聞いたことがない。
  一億円の費用を掛けてまで樹木を伐採し、神域の空間を歪めるのに、なぜ老朽化して衛生上も好ましくない既存のトイレは改築しないのか。それこそ靖國神社に課せられた早急の整備計画であり、「参拝客の利便性を考慮」(山口権宮司)する趣旨に適うというものではないか。

【何故?歪める祈りの空間】
  靖國神社元宮司であられた松平永芳氏のお言葉を、今一度思い起こそうではないか
  「神社のたたずまいを変えてはなりません。われわれは『靖國で会おう』『靖國の桜の下で再会しよう』と誓い合って戦地に赴いたのです。その時のお社の姿、現在の姿ですが、これを変えるわけにはいかない。たとえ何百億円寄付するから日光東照宮のような葬礼華美な社殿にしてくれてといわれても、絶対に肯けない」と。我々はこの言葉を戒めとして、また遺言として受け止めている。
  靖國神社は創立百三十周年記念事業として、祭儀所並びに参集殿と改築工事を立て続けに行っているが、外観への不評や工事に絡むスキャンダルなど見るに聞くに堪え得ない事柄がそのまま放置されている。一体これで恩恵を被るのは誰なのか?英霊か、遺族か、参拝客か、靖國神社職員か、大手ゼネコンか。
  いままた神門前整備工事という名目で、一億円の浄財を投じて神門前の神域と空間が歪められる。死者を祀る静謐な祈りの空間は靖國神社の根幹に関わる問題であり、この計画が靖國神社の一部のものだけで処理されてはならない。

 ここに主権回復を目指す会は、靖國神社に全面白紙撤回の再考を求める。