五百旗頭真ミニ研究(II)
 

五百旗頭の校外活動

五百旗頭の校外活動の凄まじさをデータでもって語らせるが、正論誌(平成21年1月号)「防大を蝕む五百旗頭イズムの大罪」で濱口和久(防大OB)が「防大校長としてのあなたのやりたい放題は、もはや留まるところを知りません」と、華商組織の戦略委員を務めていることを例に挙げて指弾している。そこで五百旗頭の校外活動を調べたところ、実態は想像を絶する凄まじさなのに驚かされた。ただしこれらは筆者が関係資料を調べた限りのもので、調査漏れが相当数(おそらく実数は2〜3割増し)あることをお断りしておく。また対象期間は、校長就任から平成20年末までである。
  五百旗頭が校長に就任したのが平成18年8月1日、それ以降の校外活動を「寄稿及び書籍出版」、「シンポジューム(フォーラムを含む)出席及び講演」、「その他」に分けて以下概略を述べる。
  調査結果を纏めた集計資料に関心ある方は、当会まで申し出られたい。

1.寄稿及び書籍出版
  定期的に寄稿しているのが毎日新聞への「時代の風」と「書評」で、それぞれ月1回弱(400字詰め原稿用紙換算で通常5枚程度)。すっかり有名になった田母神更迭の完全肯定の一文は「時代の風」(「文民統制の重要性」平成20年11月9日)に書かれたもの。また書評は毎日新聞書評委員として、対象書籍の選定が評者に任されているから、かなりプレッシャーのかかる仕事と思われる。
  その他、不定期に月刊誌・新聞等に寄稿しているが、分量は新聞向けは原稿用紙10〜20枚程度、月刊誌向けは数十枚規模である。
  ○新聞向け寄稿:42件(月平均1.5回)
  ○雑誌向け寄稿:7件(4ヶ月に1回)
  ○書籍(自著または共著)発行:7件(4ヶ月に1冊)
  五百旗頭は遅筆(原稿仕上がりが遅い)で有名だそうだから、これだけの量をこなすには執筆に要する時間も並大抵ではなかろう。そんな苦労を本人が吐露している文章を以下に紹介する。
「『戦後日本外交史(新版)』の中国語訳発行に際し、訳者の呉万虹が北京の世界知識出版社の意向として、日中関係についての長い序文を書くよう求めてこられた。防衛大学校長の新しい職務に多忙であった私は、正直言って、『国難来る』という想いをもってこの要請を聞いた」(「書斎の窓」(有斐閣)」(2007年9,10月号)。
  9及び10月号の上下2回分の分量は、原稿用紙にしてざっと数えて100枚程度になる。さぞかし苦労したろうが、着任早々の校長がかかるバイトに注力していていい訳がない。 
  また著作発行が著者にとって大変な時間と労力を要するのは、一度でもその経験がある者はよく承知のことだろう。改訂版・新書版などもあるから、書き下ろしの新著ほど手間を要しなかったかも知れないが、それでも校長業務の片手間で、というほど安易にできることではない。

2.シンポジューム出席・講演実施:48件(月平均1.7回)
  単に講演だけから、コーデネーターやパネリストを勤めるものなど多彩な内容。まあ外交史や国際政治が主題のことが多いから、準備にそれほどの労力は必要ないのかも知れないが、それにしてもこの回数の異常さには驚くばかりだ。
  執筆や次項の神戸での活動もそうだが、五百旗頭は前職時代の仕事を防大校長になっても殆どそのまま踏襲している。そうであるから、神戸を主とする関西でのシンポジューム参加などがやたらに多い。冗談ではなく、五百旗頭真プロダクションの社長が防大校長を兼ねているようなもので、防衛省も防大も随分と舐められたものだと思う。

3.その他
  「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の会議等(隔週金曜の定例会)出席:56回
  神戸大在勤時代からの継続で、これだけ頻繁に神戸(自宅所在地)に帰るからには、流石にヤミという訳にはいかなかったようで、防衛大臣の兼業承認を受けている。ご本人は「防衛大学校長として、被災地神戸の生の声反映させ学生の段階で危機管理に関することを教育することは将来、幹部自衛官となる者の教育の場として意義があるものと考える」(兼業申請文書)と言うが、校長就任に際しては真っ先に整理するべき種類の業務と筆者は考えるがいかがだろうか。

福田首相絡み「防衛省改革に関する有識者会議」「私的外交勉強会」など:22回
五百旗頭が福田康夫首相とアツアツだったのは良く知られている(後述)が、会議等出席だけでなく、訪日した胡錦涛・中国国家主席との夕食会にまで招かれたのだから大したものと言っておこう。
福田政権の1年間で、日本の将来に禍根を残すような政策が目につくが、これに五百旗頭が深く関わっているのだ。

皇太子・同妃へのご進講(於:東宮御所):2回
平日のご進講で東宮御所ともなれば、タクシーを乗り付ける訳にはいかず、おそらく公用車を使ったの公務出張扱いだった筈。
校務を蔑ろにして一体皇太子になにを講義したのか心配だが、このご進講は外務省OBとの絡みで実施したことは疑いがないから、彼らや五百旗頭の持論である「かつて日本は中国に悪いことをしたので、ずっと謝り続けなければなりません。中国が嫌がることは決して仰ってはなりません」を強調したのは間違いないと思われる。

 防大校長としての勤務の傍ら、上記の校外活動をこなすとは尋常ではない。と言うよいりも、常識的には校長としての職責を全うしながら、これだけの職務外活動が可能な筈はない。何故にこんな勝手な振る舞いが許されているのだろうか。

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